運転手から嫌われているおばあちゃんと老犬と寂しさと

タクシー

本日もwithanimalにお越しくださいましてありがとうございます。

タイトルからもわかると思いますが本日の更新は私シィ坊となってしまいます。そんなシィ坊ですが、最近自分の書いたテキストにFacebookでいいねを付けていると写真からもろバレしている様で、私のFacebookに飛んで来てメッセージをくださった優しい方がいらっしゃいました。

許可をいただいたのでどの様な内容のメッセージだったかご紹介したいと思います。

『はじめまして。弊社は今運転手が不足していて新しい人材を探しています。同じ地域の営業区域なので問題なく移籍出来ると存じます。支度金30万円ご用意いたしますので是非ご検討ください。』

まさかのタクシー運転手としてのヘッドハンティングでした。

私のテキストを読んで私の何が良くて勧誘されたのかわかりませんが、ここに書いているタクシーブログは私の極一部に過ぎないので良い運転手だと勘違いして勧誘してこない様にお願いしておきます。とは書いてみましたが、どの会社も運転手不足なので私でなくても誰でも良いのだとはおもいますけどね。

さて、そんなアルバイト運転手の私が今日書く内容はこんなに嫌がられているお客様って他にいるのか?と思うくらい敬遠されているお客様とそのお客様が飼われている老犬のお話です。

犬を飼うなら自分の年齢も多少は考慮しないといけないよね

そのお客様は現時点で齢94のおばあちゃんと18歳の真っ黒なスコティッシュテリアのハナちゃんです。

スコティッシュテリアといえば活発でパワフル、プライドが高くて負けん気が強い、頑固な性格をしていると言われているのですが、18歳ともなるとそんな様子を一切見せる事もありませんし、毛を梳いてもらっていないようで、長い黒い毛がもつれ倒しています。良い様に言えばドレッドヘアですが、私にはモップにしか見えません。因
みに運転手の間ではドレッド犬というあだ名が付けられています。

そんなハナちゃんとおばあちゃんですが何故嫌われているのでしょうか。単純にハナちゃんが綺麗にしてもらっていないので汚いというのもありますが、実際嫌われているのはハナちゃんではありませんからね。

おばあちゃんが敬遠される理由

どれくらい嫌われているかを先に説明しておきますが、私が出勤していない日にこのおばあちゃんから配車室に電話がかかってきても行く運転手がいないので断られてしまいます

逆に言うと私が出ている日は私の無線の待機順が何番手であっても私に配車が落ちて来るという具合です。
何故そんな悲しい事になってしまったのか。答えはいくつかあります。

①時間がかかるから

私達運転手は基本的に基本給的な物はありません。働いた分、稼いだ分の約半分が自分の取り分となりますので、運転手は1時間にいくら稼ぐかで時給が決まります。
ですので、お金にならない時間を過ごすことを何よりも嫌っています。
このおばあちゃんは年齢も年齢なので、当然の様に携帯電話なんて洒落た物は持っていませんので、タクシーを呼ぶ時は当然自宅の電話からかけてくるんですよね。

マンションにお住まいなので、電話をかけてから車寄せまで出て来るのに大方30分程度かかってしまいます。

そしてハナちゃんを手押し車に乗せて来るのですが、おばあちゃんに乗っていただいて、モップの様になっている中々良い匂いのするハナちゃんを抱っこして渡して、手押し車をトランクに入れます。
降りる際はこの逆の手順で進むのですが、さらに目的地まで一緒について行ってあげないと危なっかしいのでゆっくりと付いていきます。基本的にワンメーターの距離しか移動しないので、全部含めて約1時間かかります。

という事でこの時の私の時給は330円となります。この作業は往復あるので、私はその日の労働の2時間はこのおばあちゃんに費やして660円を稼ぎます。言ってはいけない事ですが正直辛いです。

②おかしをこぼす

移動時間はたったの5分程度なのですが、絶対にお菓子を食べます。お菓子を食べるのはおばあちゃんではなくハナちゃんなのですが、口元が緩んでいるのかビックリするくらいカリカリのエサをまき散らしてくれます。
調子のいい時はスティックジャーキーの様なお菓子をあげるのですが、歯が悪いのかわかりませんが、噛み切る事が出来ない様でしゃぶりたおして座席によだれを大量に付けて行ってくれます

5分程やからおかしあげないでもらえませんか?と言ってはみるのですが、聞く耳をもたず毎回確実にお菓子をあげて毎回お菓子を撒いて出ていきます。

③はなちゃんの座った後は黒い染みができる

基本的にシートの上にはあげないで欲しいと訴えるのですが、今の所一度も私のお願いを聞いてくださった事がありません。
基本的に手押し車に乗っているので、地面に立っていないと思われるハナちゃんなのですが、白いシーツの上に座らせると何故かハナちゃんの魚拓が取れてしまいます。

恐らく年単位で洗ってもらっていないのだろうと推測できますが、シーツが汚れてしまっては以降の営業が出来ないので一度会社に戻ってシーツを交換して再度出庫となるのでやはり時間を無駄にしてしまいます。
私の場合は常時替えのシーツを車に積んでいるので降りたら即交換の消臭スプレー全開で対応していますが、面倒なのにかわりはありません。

④とにかくお客様第一発言

問題はこれなのかもしれません。

私がお菓子の事やシーツにハナちゃんを乗せないで欲しいと言ったら『私は客や!お金払ってこの空間を借り切ってるんやから私の自由や!』と94歳とは思えない張りのある大きな声で叫んできます。

ハナちゃんを兎に角可愛がっているのはよくわかるのですが、絶対に椅子に上げないと気が済まないし、おかしも絶対食べさせないといけないという謎のルールがある様で運転手が嫌う要素が満載なのは間違いありません。

昨年の暮れに

しばらくおばあちゃんの配車がなくなっていたのですが、去年の暮れに久しぶりの配車がやってきました。現着してからゆっくり待っていたのですが、おばあちゃんが一人でやってきました。
あれ?ハナちゃんどうしたんやろ?と思っていたらおばあちゃんは言いました。

『ハナちゃん死んでもてん。こんな悲しい想いするんやったら犬なんて飼わんかったらよかった。もう絶対犬なんて飼わんわ。』

とても気を落としているおばあちゃんに何て声を掛ければいいか私にはわかりませんでした。
でも実際おばあちゃんの年齢から考えて次に子犬を飼うというのは無謀ですよね。
94歳のおばあちゃんが0歳の子犬を飼ってしまったらおばあちゃんに頑張って生きてもらわないと犬だけ残る事になってしまいます。
そうして残された犬や猫が保護犬、保護猫となってしまうという残念過ぎる結果が待っています。
おばあちゃんが世界長寿記録を更新して生き続けるという保証がない限り新しく子犬を飼うという事は無責任だと私は言い切ります。

しかしこの時のおばあちゃんの悲しそうな顔を見ていると当然そんな事は言えませんし、そもそもおばあちゃんは絶対に飼わないと言っているのである意味安心です。

2020年2月初頭の出来事

今年に入って初めておばあちゃんの配車がきました。

流石にハナちゃんがいなくなってからはめっきり配車回数も減ってしまいました。その理由は行き先がドッグカフェだったからです。
基本的に他に近場で行く事がないのかわかりませんが、前回の配車も行き先はそのドッグカフェでハナちゃんの訃報を報告に行ったというものでした。
今回はどこに行くのだろう?私はそう思いながらいつも通りおばあちゃんがマンションから出て来るのを待っていました。
しばらく待っているとおばあちゃんが子犬を連れてやってきました。

いやいや、絶対飼わんって言ってたやん!

『おばあちゃん犬飼うたんかいな!』と言うとおばあちゃんは『寂しかったから飼っちゃった』と全然可愛くない感じで可愛らしいセリフを吐いてきました。

そりゃね犬を飼うという権利は誰しも持っている権利だと思うので良いんですよ。別に良いんですけど、綺麗事無しで絶対おばあちゃんの方が先に亡くなってしまうよね?
残されたこの子どうすんのさ!
しかも名前がハナちゃんⅡってセンスどうなんよ!

これは言っておかないとダメだと思った私は『おばあちゃん自分が先に死んだらこの子どないすんのさ?ちゃんと行き先考えとかなあかんで!』と言ってしまいました。

お蔭様で会社にクレームが入り、私は配車停止になってしまいましたので弊社でこのおばあちゃんの配車に対応できる運転手は0です。
そして年に一度のクレーム0で賞(50万円)がパーになりましたが、そんな事はどうでもいいくらい残念な思いです。
もう、犬を飼うには免許制にでもしないと、こういう老人と不幸な犬は無くならんと思いました。
※ちなみにハナちゃんⅡは息子さん家族に引き取られたそうなのでご安心ください。


この記事を書いた人
シィ 坊

兵庫県芦屋市でひっそり会社経営してるオッサンです。
最近保護犬のことを知りました。
育児の事から趣味の事など役に立ちそうで立たない事を更新中!
読んでくれた人に少しでも笑顔になって欲しいなと思っています。

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